煮物が変化して、カレーうどんになった日今夜の煮物は失敗した。 味が薄すぎておいしくない。 あまりにもおいしくなさすぎて、カレーを入れた。 さらにカレーうどんにしたら、おいしいかなと娘と話していたら 「ママ、カレーうどん食べたい」 キラキラした瞳で見つめられた。 「いや、今夜はカレーの煮物ということで」 お茶を濁しにかかる。 しかし、娘のキラキラした瞳の前には、ひれ伏すしかない。 ごはんはしっかり炊けている。 「ここはカレーライスということで」 それも言ってみる。 最後の抵抗もむなしく、うどんを湯がきだす。 娘の鼻歌が聞こえてくる。 これはかなり機嫌がいい証拠である。 彼女は物心ついたときから、ずっと好きな食べ物は『うどん』である。 それは変わることなく、現在に至る。 小さい頃に食べたい物を聞くと決まって答えはひとつだった。 「つるつるめんめん!」 字は読めない時期なのに『うどん』の看板の意味を知っていた。 うどん屋さんには、自分の好きな物がある。 たぶん文字としてではなく、模様として覚えていた様子だ。 たまの外食もいつもうどん屋さんになっていた。 なぜなら、看板が読めるからである。 これにはしばらく閉口してしまった。 家で食べるうどんは久しぶりだった。 娘の鼻歌にたまにはいいかと彼女の幼い横顔を見つめる。 これから、どんな風に変わっていくのだろうと予想してみる。 でも、好きな物は、そんなに変化しないのだろうか。 十年後もすきな食べ物は『うどん』というのだろうか。 久しぶりの外食も全部うどんに変化する未来はいらないが、 一緒に食べる未来は欲しいと切に思うのだった。 |